大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(ネ)2443号 判決

証拠を綜合すると控訴人主張のように本件請負契約締結当時前記訴外会社は多額の負債を有しており控訴会社に対する工事代金支払の資力もなく、これを支払い得る確実な見込もなかつたのにかかわらず、被控訴人は前記会社の請負つた工事を施行する必要から同会社の専務取締役であつた訴外野村某と共に出来高払で支払う旨申出で、その支払のため手形を振出して控訴会社を信用させ急いで工事に着手させたものであるところ工事代金の支払のため右訴外会社の振出した手形はいずれも不渡りとなつたことを認めることができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

以上認定事実からすると控訴会社は工事残代金三百七十二万円の支払を受けることができず、右と同額の損害を蒙つているものというべく、被控訴人は前記訴外会社の取締役として代金支払の見込のないのにかかわらず控訴会社に請負契約を締結させたもので控訴会社の蒙つた前記損害について取締役としての職務執行について少くとも重大な過失の責任ありと解するのが相当で被控訴人は商法第二百六十六条の三に基いて控訴人に対し前記損害を賠償する義務ありというべきである。

(毛利野 石田哲 矢ケ崎)

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